記憶のかけら +

銀の月


一人で旅をしないなら
そんなの ほんとの旅ではないわ

誰とどこに旅しても
一人で旅をしている気になる

そんなの
全部
一人よがりよ




風の吹く丘の上で
町を振り返りながら
この島の四季を見たいと思った
名も知らぬ
小さな黄色い花が
たくさん咲いていた

ペドロと言う名の
ペリカンのいる島

飛行機が
飛び立つ瞬間は
何故かセンチメンタルになる
それが
夜なら なおさら

晩秋のウクライナにいたら
電話して
すぐに迎えに行くから

空の上から見た
ぼっとした 空と海の
グラデーション

一波瀾あった後の
バスの中
ようやく 白んできた空に
銀糸のように 細く輝く月が
まだ高かった
あの国境の橋の上で
また あの月に会えるのならば
私 早起きだって
我慢できる

最果ての地なんて
どこから見て 最果てなんだろう

寒いなら寒いで
元気がでることがある

海へ行きたい


ぎっしりとつまった
流氷のような雲の上
一筋の大河のように
雲の切れ間が見えた
私は風の通り道だと思ったけれど
あの人は本物の河の上だと言う
ただ 今ここに存在するために
生まれてきたのだと思った
そして  偉い人にはなれなくてもいいのだと
わかった
この地球上に生きて
何かをしている
蟻のような 私でも
蠢く人々の中で
存在自体に
意義があるはず

突然 目の前にあらわれた
傘松の並ぶ
ローマへの道
の次は
雲の道
光る道にも 出逢った


一人旅なら   たくさんしたけど
二人なら    ケニアのサファリに行きたい
ビーチで一人は 嫌なもの

つかの間の
ぬくもりに身を任せて
時が流れてゆくのを
ぼぅっ と眺めているのもいいけれど

そのうち

帰るわ


イタリア語で フルット
タイ語で クルーン

サンピエトロの上に

こんな形の月が出ていた





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